転職しないと給料はあがらない。
これからは個人でキャリアプランを考える時代だ!
↑転職を推奨する情報はいたるところに掲載されています。私自身も3回転職しており、また面接官としても年間100回以上の採用面接をしていた時期もありますが、キャリアアップのためにも転職はドンドンしたほうがいい!という意見です。
ただし、「なんとなく今の職場に不満がある。」「漠然と将来が不安。。」という理由で転職を考えている人は、一旦冷静になったほうがいいです。
転職はあくまで「目的」を達成するための「手段」です。ですので、転職が目的を達成するための手段にならない場合、不幸な結末になります。
この記事では、どんな人は転職をしてはダメなのか?特徴について紹介をしていきます。今、転職活動をしている、また将来的に転職を考えている人は、自分が特徴に当てはまっていないかを確認してみてください。
日本の転職市場について
転職で不幸になる人の特徴を紹介する前に、前提を揃える意味で、昨今の日本の転職市場についてカンタンに紹介させていただきます。
まず、右肩上がりの経済成長をベースに設計されている終身雇用/年功序列の制度を維持することは難しくなっています。これは、中小企業に限らず、日本一の大企業であるトヨタですら、そのような趣旨の発表をしております。
そのため、新卒一斉採用で適正を見て配属先を決める「メンバーシップ型雇用」よりも、必要な職務内容に対して適したスキルや経験を持った人を採用する「ジョブ型雇用」を重視する企業が増えています。
つまり、中途採用による人材獲得に力を入れている企業が増加しており、個人としても転職が当たり前の時代になってきています。
やったー!やっぱり転職をするのが正解の時代なんだ!
しかし、考慮しておくべき大事なポイントがあります。それは「ジョブ型雇用」は欧米企業を参考にしていますが、日本企業とは法律面で大きな違いがあります。
端的に言うと、欧米では「パフォーマンスが低い。」と企業が判断すれば即解雇できます。一方で、日本では法律で労働者が手厚く保護されているので、カンタンに解雇することはできません。
良いことに思えますが、企業側からすると解雇しづらいので、慎重に採用せざるおえません。つまり、好条件な魅力的な求人であるほど、企業側も慎重に採用するので狭き門になっています。
まとめると、転職は当たり前な時代になりましたが、「好条件な」転職を成功させることの難易度が下がっているわけではない。ということは理解しておく必要があります。
転職で「不幸になる」人の特徴:3選
ココからが本題です。転職で「不幸になる」人の特徴を3つ紹介します。
- これまでの経験/手法を捨てられない人
- リスクを受け入れられない人
- 成果の再現性を証明できない人
詳しい理由はこれから説明しますが、この特徴は「大企業/高年収/転職未経験」のサラリーマンが該当している可能性が高いです。あくまで環境要因の傾向としての話で、全員があてはまると言ってるわけではないという点だけ、ご留意ください。
これまでの経験/手法を捨てられない人
過去の経験/仕事の手法を貴重な財産です。そして、採用する側の企業としても新しい風、文化を持ち込んでくれることを期待しているケースも多いです。
しかし「郷に入れば郷に従え」という言葉があるように、転職を成功させるには、その組織のやり方を覚えて適応する力も必要です。これまでの経験/手法を捨てられないデメリットは2つ紹介します。
1つ目は、自己成長の機会を逃すことです。新しことに挑戦し、取り入れることで成長しますが、過去にこだわると新しいものを受け入れづらくなります。環境を変え、新しい学びを得る絶好の機会を活かせないとなると、転職をしないほうがよかったとなる可能性が高いです。
2つ目は、職場で浮いた存在になってしまうことです。こちらの方が致命的です。
「前職では〇〇だった」ということを、いつまでも言ってる人をイメージしてください。「そんなに前職のやり方が良かったなら、前の職場に戻れば??」という印象を持たれかねません。
もちろん生産性があがる提案をすること自体プラスなのですが、具体的に変える方法を説明したり、なぜ今のやり方になっているのか?変えられない理由がないか?を確認して行動しないと、ただ否定をしているだけの人になります。
少し偏見がはいりますが、これまでの経歴に自身がある人、大手企業で働いていた人は、変化を受け入れづらい傾向にあると思います。つまり以下のような人は、転職すると不幸になります。
私が以前いたのは、大企業だ。
そのやり方が間違っているはずがない。
私に周囲が合わせたほうが絶対にいい!!
リスクを受け入れられない人
実際に転職するときは、リスクをともないます。いくら入念に調査しても入社してみないと、わからないことが当然あります。ここで、リスクを受け入れられない人は、転職後の環境で少しでも気に入らないことがあると「被害者意識」を持つことになります。
なんで言ってくれなかったんだ。騙された。。
↑100%自分の思い通りの環境なんてあるはずがないです。転職のメリット/デメリット、リスク/リターンのバランスをみて「転職したほうがよい。」自分で判断しているので、基本的に自己責任です。
しかし、被害者意識をもってしまう人は、永遠に「無いものねだり」を続けることになります。学生時代から優秀で就職も大手企業に入る。という、いわゆるエリートの人ほど、常に正解があって、誰かが正解を保証してくれているという考え方の人が多いです。
つまり、以下のような人は、転職すると不幸になります。
僕はこんなに頑張ってるのに、なんで条件(給料/環境)を保証してくれないんだ。。
成果の再現性を証明できない人
これまで紹介した2つは、転職をしたあとに不幸が発覚するパターンですが、最後の「成果の再現性を証明できない」は、そもそも好条件の内定を勝ち取ることができず、妥協した転職で不幸になるパターンです。
理由を説明していきます。企業が採用時に最も重視しているのは、入社後に活躍してくれるか?ということです。前職でいかに素晴らしい成果を上げていたとしても、それは偶然?もしくは会社の仕組みが良かっただけ?などは非常にシビアに見ています。
具体的な例で紹介していきます。
↑これは転職者側の目線での実績アピールです。
しかし、企業側はこの実績だけでAさんを評価することできません。
↑この時点では採用側は「営業マンAさん個人の実力なのかな?」と慎重になります。ちなみに、複数社での実績があれば、環境が変わっても成果が残せる材料になります。
特に転職未経験の大企業出身者が、「会社の力」と「個人の力」を混同させがちです。大企業は企業ブランド力、製品力で他社を圧倒するだけの力があります。それを自分の力と勘違いしているケースは、私自身が面接をしていた時の体感として結構多かったです。
つまり、以下のような人は、転職すると不幸になります。
大企業出身で実績もあるのに、好条件の内定がとれない。
妥協した転職先は、イマイチだ。。
転職したほうがいい人の特徴
転職しないほうがいい人の特徴を紹介しましたが、逆に転職をしたほうがいい人もいます。
というか、「過去の経験を捨てる勇気」「リスクを受け入れる覚悟」があれば、積極的に転職活動して視野を広げたほうがいいと思います。
転職活動を通して、他社をみることで、現職の良さを知ることになるかもしれません。
ネットを使えば情報を収集することはカンタンですし、転職「活動」はノーリスクです。望んでいる条件がなければ、転職しなければいいだけの話です。
転職活動をする前に準備すること
最後に転職活動をするにあたって、準備すべきことを簡易に紹介して終わりたいと思います。※ココは需要があれば、また別の記事で詳しく紹介したいと思います。
1.自分自身の中長期のキャリアプランを考える
冒頭に紹介した通り、転職は手段であって目的ではありません。目的が全ての起点になるので、今後、どうなりたいのか?人生において何を大事にしているのか?じっくりと考える時間をとる価値はあると思います。
5年後、10年後、どうなっていたい?仕事だけでなくプライベート含めて自分が「なりたい姿」を想像してみましょう。そして、なぜ、そうなりたいのか?を自問自答していくことで、自分の価値観を正しく認識しましょう。
ポイントは「大事じゃないもの」も定義することです。実は自分の価値観として「お金」は重要じゃなかった。場合、一般的な価値観から考えて、自分の心との齟齬が生まれているかもしれません。
参考記事:人生の軸・転職の軸の作り方
「なりたい姿」が想像できたら、そこから逆算して、今年は何をする?来年は何をする?そのためにどんなスキルが必要で、どんな仕事に付く必要がある?など、具体的な行動に落とし込んでいくことができます。
すると自然に、転職動機(転職先の企業に求めること/現職では実現できない理由)が明確になっていきます。
注意点としては、1回の転職で全ての条件を手に入れようとしないことです。転職を「手段」として捉えて、目的までステップアップしていく戦略を持つことが成功のカギです。
参考記事:キャリアアップ戦略|軸ずらし転職について
2.実績のプロセスを言語化し、再現性を証明する
転職動機が決まったら、実際に転職を成功させるには、企業から「ぜひ、ウチに来て欲しい!」と内定をもらう必要があります。
そのために先程からご説明している通り、「成果を出せる」ことを証明する必要があります。成果を上げることにおいて大事なのは、一度のまぐれの大成功ではなく「再現性」です。つまりカイジみたいに奇跡的な大勝利をあげるけど大敗北するギャンブラーより、安定して成果を出してくれるゴルゴ13のような仕事人を求めています。
再現性は、結果だけではなくプロセスによって証明することができます。
この方はデータを分析して勝率をあげる取り組みをしているので、違う環境でも成果をあげてくれそうです。さらに、部署全体を巻き込んで改善に取り組んでおり、組織にもいい影響を及ぼすことができそうな点が素晴らしい。という評価をもらえるはずです。
この例はあくまで表面的な話ですので、面接ではより深い質問をされます。自分自身で「なぜ?なぜ?」を繰り返して、行動した理由まで言語化して落とし込んでいくことが大事です。
また実は失敗経験もアピールポイントになります。
野村克也さんの「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。」という名言があります。勝つ時はラッキーもあるけど、負けには理由がある。つまり理由を突き詰めて考えられる人は失敗から学び、プロセスを大事にしているので、成果の再現性に信頼をおけます。
まとめ:転職は手段!本質は市場価値を上げること
最後に本記事で紹介した内容をまとめさせて頂きます。
転職市場は活発になり、ステップアップの手段として有効ですが「転職が向かない人/不幸になる人」もいる。という参考になりましたら幸いです。
また繰り返しになりますが、転職は手段です。漠然とした不安感などを抱えている場合、考えるべきことは「市場価値を上げるにはどうすればいいのか」ということです。特に実績の言語化ができないようであれば、本質的なビジネススキルを高めることを優先したほうが良い結果につながると思います。
このブログではビジネスパーソンの「市場価値をあげる仕事術」「転職に必要な考え方」を紹介してますので、よかったら他の記事もご覧ください。
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