- 失敗して怒られたくない
- 失敗を生かしてくれと言われたけど、方法が分からない
- 組織内で失敗を隠してしまうので、改善ができない
などなど、「失敗」についてはネガティブな感覚をお持ちの方は多いのではないでしょうか?
しかし名経営者、偉大なスポーツ選手も「失敗は必要だ」と口を揃えて言っています。この感覚のズレは一体どこからくるのか?なぜ失敗が必要なのか?失敗を活かすにはどうすればいいのか?
こういった疑問をバッチリ解決してくれるのが、「失敗の科学」という本です。タイトルの通り、根性論ではなく「科学的」に失敗を活かす方法について紹介しており、22カ国で出版されている世界的なベストセラーとなっております。
本書は具体的な事例/数字が豊富にあって、非常に読み応えがある一冊です。まずは興味を持って頂けるように、私が重要なポイントをギュッと凝縮した記事にしましたので、是非ご覧になって下さい。
失敗の重要性|失敗の捉え方で「未来」が変わる
分野を問わず多くの成功者は「失敗」が必要だと言っています。成功の裏には数え切れない失敗と改善の繰り返しが行われています。成功者と一般人の違いは、失敗を受け止めてやり抜く力だと言えます。
「失敗は大事」ってよく聞くけどさ、根性論じゃん。
結局、生存者バイアスがかかった情報が届いているだけ。
分かります。もちろん、この意見も正しいと思います。ただし誤解してはダメなのは「根性論で一つのことをやり続ければ誰でも絶対に成功できる!」ということは誰もいっていないということです。
例えば、ケンタッキーフライドチキンで有名な「カーネル・サンダース」氏は、大成功を収めた事業家ですが、ケンタッキーを作るまでに30以上の事業に失敗してきました。彼のような偉大な成功を収めた人物であっても、たくさんの失敗をして、1つの大成功を掴みました。
また本書では「失敗から学習を続けること」でどのような差がでるか、2つの組織を具体例として取り上げています。
失敗から学習した組織:アメリカの航空業界
今では信じられないですが、飛行機は非常にリスクの高い乗り物でした。1912年当時、パイロットの14人に8人は事故で命を落としていました。「鉄の塊が空を飛ぶ」ということは、やはり大きな危険が伴うことでした。
そのため、第三者機関を設けて飛行機事故の原因が何かを徹底的に調べ上げる体制を作りました。そして、同じ事故が起きないための対策を講じ続けました。
その結果、2013年には、事故発生率は240万フライトに1回の確率、また自動車事故の33分の1以下の発生確率まで下がりました。移動手段の中でも、随一の安全性を誇っております。
失敗から学習できなかった組織:アメリカの医療業界
1999年の米国医学研究所が、毎年44,000〜98,000人が、回避可能な医療過誤により死亡しているとショッキングな発表をしました。このレポートが最も危惧していたのは以下の事項です。
「どのような経緯で亡くなってしまったのか?詳細が記録されていなかった。改善を実施するためのデータが存在していないので、原因は究明されないまま同じ失敗をくり返すことになる。」
こういった状態になっていた原因は医療事故について「避けられない事態が起きました。不慮の事故です。」と逃げるのが医療業界で当たり前となっていたからです。
事故には様々な要因がありますので、単純な話ではないです。ただ「失敗」の捉え方と活用の方法について対比する形で、本書では「航空業界」「医療業界」を深く掘り下げておりました。
「失敗」を受け入れられない要因
失敗は大事ですが、実際には「失敗をどんどんしよう!」とはなっていません。失敗を受け入れることが難しい理由には、内的要因(自分自身)と外的要因(組織/団体)がありますので、それぞれ説明していきます。
内的要因:自分自身でミスを認められない
内的要因とは、全精力をかけて努力をしてきたからこそ、ミスを認められないということです。
こんなに頑張ってきたのに、間違っているわけがない!!
先程の医療業界の事例でも、インタビューで医者になるまで「膨大な時間勉強をしてきた私が間違っているわけがない。偶然が重なっただけだ」という趣旨のコメントが複数あったそうです。
航空業界の事故の場合、事故状況は機械に細かく記録されています。しかし機長に事故の原因を聞くと、実際の状況と大きく乖離した説明をしていました。総合的に判断して、機長に悪意があったわけではなく、本当にそう思い込んでいる=都合よく記憶が改ざんされていることが判明しました。
人間の記憶は信頼できないことが、データによって証明されました。
外的要因:組織としてミスを認められない
外的要因は、ミスを攻める組織体制です。ミスしたことを責められるのであれば、当然ミスに対して消極的になりますし、なるべく隠蔽しようとします。結果として改善は進みません。
またミスが発覚した場合「犯人探し」をします。根本原因ではなく個人の責任にして処理しています。
大企業でよく見られますが、中間層の誰かを犯人にして、責任を取らせる。さらに上の経営層は何も責任を取らない。こんな状況なら、当然ミスを隠しますし、積極的に行動もしなくなります。。
そんな状態の組織は、他人がミスをしたときは激しく攻撃して、自分が犯人ではないことをアピールするようになります。すると組織にいる人はよりミスを恐れて、、、という負のスパイラルに陥ってしまいます。
失敗から学ぶためのポイント
ココからが本記事の最も重要なポイントです。失敗から学ぶ方法について本書で書かれていることを、大きく4つにまとめて紹介します。
1:改善のために「失敗」を見つける
失敗から学ぶには、失敗になれることが重要です。なので1つ目は「失敗を見つけて、改善策を考える」です。つまりPDCAサイクルを回しましょう。という話になります。
Check→失敗を見つけて、Act→改善しましょう。ということです。成功している人は、PDCAのサイクルが回せているので、必然的に失敗になれているという因果関係があると思います。
難しいと思った方、ホントに小さなことでいいんです。例えば、
- 上司に報告を忘れてしまったので、17時に連絡するを習慣にしよう。
- 買い物で牛乳を買い忘れたので、次回からは必要なものはスマホにメモしておこう。
- エアコンをつけっぱなしにしてしまったので、起動時にタイマーもセットしよう。
こんな感じの日常で発生する小さな失敗をみつけて、改善策を考えるを繰り返すうちに、失敗になれて改善をするが習慣になっていきます!
2:目標を明確にする
失敗から学ぶためには、目標を明確にして細分化することが大切です。明確な場合と、曖昧な場合を比較してみましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
目標が明確 | 失敗しても原因から改善をすることができる | 失敗を隠せない/恥をかくことがある |
目標が曖昧 | 失敗を隠すことができる | 得られるものはなく、現状から抜け出せない |
具体例で考えてみましょう。営業マンの目標が「10万円の売上をあげる」だった場合で考えてみましょう。単価が1万円の商品を販売しており、過去のデータで成約率が50%であれば、「20人に提案すればいい(20人×0.5×1万=10万)」という感じで目標が細分化して明確になっていきます。
そして20人に提案したけど、成約率が25%だったので、5万しか売上があがらなかった。という結果であれば、商談方法に問題があったのか?など成約率の向上に絞った改善案を考えていくことができます。
一方で、「従業員の満足度を上げて、業績の最大化を図る」みたいな抽象的な目標だった場合、実施した施策を並べると頑張ってる感はでますが、何ができてなくて何を改善するればいいかはよく分かりません。
ですので、何が失敗なのかを正確に知るために、目標は達成度を測定できるように数値化しておくことが重要です。
3:事実を正確に記録する
失敗を受け入れられない要因でも紹介したように、人間の記憶は非常にあやふやです。ですので、正確な失敗原因を知るためには、正確な記録が残る仕組み化が必要です。
失敗から学び改善をすることができた、航空業界は操縦席に備え付けている機械が、航空機録/音声などを正確に記録を残しています。最近だと、ドライブレコーダーがトラックなどには必須で搭載されています。
大きな事故だけではなく、ビジネスにおいて「言った言わない」の認識違いが原因でトラブルとなるケースも多々あると思います。そのため、同意事項は記録に残しておくべきです。
- 口頭の約束ではなくメール/チャットなどで記録に残す
- 会議後は、議事録を関係者に送って同意事項を明確にする
- Web会議なら録画しておく(※参加者に許可をとって下さいね。)
記録があれば、あとから原因の追求も可能になりますし、自分の身を守るためにも有効です。なるべく手間なく自動化できる仕組みを考えることも必要です。
4:人のミスに寛容になる
組織としてミスを責めてしまうことがミスを認められない原因となると紹介しました。ミスが許される=心理的安全性が高い職場では、高いパフォーマンスが発揮できるということをGoogle社が自社内の調査でも発表しております。
しかし組織のトップでないと組織風土を変えることは難しいでしょう。なので、まずは「自分が他人のミスに寛容になる」ことです。自分がミスに寛容になれば、周囲も自分のミスを許してくれる可能性が高くなります。
これは「返報性の法則」といって、相手から受けた好意などに対し「お返し」をしたい。逆に嫌なことをされたら、仕返しをしたい気持ちになる心理学に基づいた法則です。
自分の影響力が及ぶ範囲から、変えていけるように働きかけていきましょう。
せめて自分の周囲だけでも人に寛容な「優しい世界」にしたいですね。
私は「ミスだってするさ、人間だもの」の精神を大事にしてます。笑
まとめ:正しい失敗を繰り返すことで成長する
「失敗の科学」から学べることについて、改めて以下にまとめさせて頂きます。
致命傷を負ってしまうような失敗はダメですが、小さな失敗はどんどんして、経験値つんでレベルアップしていきましょう!!
より多くの事例などを見たいという方は、是非、本を手にとってお読み下さい。
ちなみに、私なんて失敗だらけの人生ですが、それでも元気に生きてます!!逆に失敗を繰り返したおかげで、凡人ですがそれなりに幸福な人生を歩めております。(私のプロフィールはコチラ)
ただ、、、失敗を何度もしていると自己肯定感が無くなっていきますよね。自己肯定感は何より大事なので、失敗を繰り返して、落ち込む前に以下の記事もご覧ください。
そして最後に、「失敗から学ぶべきだが、自分で全部経験するには人生は短すぎる」というフレーズがめちゃくちゃ印象に残ってます。つまり他人の失敗を追体験できる読書が自己投資には最強です。何を読んだら良いか分からないという方は、とりあえず、私のオススメ本をお読みください!!笑
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