チームのパフォーマンスを最大化するには「心理的安全性」が重要です。これは世界最強の企業である「Google」が大規模な社内調査で証明しています。
しかし、調査結果に対して、
Googleだからできたんでしょ。
それに現場社員の自分には関係ないよ。。
↑なんて思っていませんか?この認識は大きな間違いです。
心理的安全性が重要なのはチームで成果をあげるための共通ルールなので、日本の中小企業の平社員であっても具体的な内容を知っておいて、絶対に損はないです。
- 心理的安全性がなぜ大事なのか?
- 具体的にどうすればいいのか?
上記を知るために、Googleで人事育成統括部長をしていたピョートル氏が書いた「世界最高のチーム 」という本が非常にわかりやすいです。
この記事では、本書から重要なポイントを要約して紹介しますので「チームの生産性をあげたい!職場の雰囲気を良くしたい!」と思っている方には必見の内容です。
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パフォーマンスが高いチームの共通点
Googleが「心理的安全性が重要」という結論にいたるまでの背景を紹介していきます。当初の目的は「生産性が高いチームの特徴を調べる」でした。
生産性の「高いチーム」と「低いチーム」の違いを、メンバーのスキルセット/性格/男女比率/行動特性など様々なデータをもとに、徹底的に比較調査しました。
つまり「信頼できるメンバーと明確な目標に向かって、社会的に意味があると思える仕事をしている」ということが重要です。
文章にすると当たり前に見えますが、世界的な経営思想家のゲイリー・ハメル氏も「企業が反映するかは、あらゆる階層の社員の主体性、想像力、情熱を引き出せるかにかかっている。」と語っており、能力ピラミッド(以下の図)というフレームワークで説明しています。
つまり、5つの条件を満たすことで従業員の能力をレベル4以上まで引き出すことが可能となり、パフォーマンスの高いチームをつくれます。
逆にマイクロマネジメントでガチガチに管理したとしても、せいぜいレベル3までの能力しか引き出せず、中長期的に見た場合、衰退していくことになります。
心理的安全性が必要な理由:変化に対応するための集合知
先ほど紹介したパフォーマンスの高いチームの5つの特徴のなかでも、特に「心理的安全性」が最重要というのが最終的な結論でした。
心理的安全性とは「メンバーひとりひとりが安心して、自分が自分らしくそのチームで働ける」ということです。つまり「安心してなんでも言い合えるチーム」ことは、その他の条件の土台となっています。
心理的安全性が「低い場合」と「高い場合」で比較します。
↑心理的安全性が低いとチームとして力を発揮できず、個人の集まりにしかなりません。
↑チームとして活動することで、足し算ではなく掛け算でチーム力が向上していきます。
以前は、過去事例が正解だったので「ひたすら早く安く」を実現するマイクロマネジメントで成果をあげることも可能でした。
しかし現代は、変化が激しく正解が見えない時代です。変化に強い組織をつくるには、多様性を受け入れて集合知を作っていくことが不可欠になります。なので、心理的安全性が最重要。という結論になります。
[補足] 心理的安全性が高い=ヌルい怠けた空気 ではない
心理的安全性の「安全」のだけ切り取って怠けた空気を想像する人がいます。「心理的安全性なんて、、」という人の多くは、この部分を勘違いしています。
本書(Google社)でのチームの定義は「プロスポーツチーム」に近いです。共通の目的のために戦略的に一緒に動いている集団です。日本だと会社を「家族」として例えますが、ココに大きな違いがあります。
- 家族・・子供が学校をサボっても、親は子供を愛し続ける
- プロチーム・・試合で手を抜く人、チームに貢献できない人はクビ
このあたりは日系企業の終身雇用を軸としてきた価値観と、成果主義の外資系企業の違いになります。
しかし「成果をだす」という目的はどちらにも共通してます。「心理的安全性が高い=(一人ひとりがプロとして成果を出すために)安心して言いたいことを言える」と考えると、誤解なく理解できるかなと思います。
心理的安全性の高い組織を作る方法
本書では、心理的安全性の高い組織を作る具体的な方法が多く紹介されています。そのなかで特に重要な4つのポイントを紹介します。
- 雑談を頻繁にする
- 愚痴(グチ)は改善のチャンス
- 完璧主義ではなく実験主義
- チームのゴールが共通認識になっている
雑談を頻繁にする
心理的安全性をあげるためには「良質な会話を積み重ねる」ことが重要です。良質な会話とは、その人が何を大事にしているのか?という価値観に関わる会話です。
また調査の結果、価値観に関する会話は「雑談」から生まれることが多いと分かりました。価値観に関する雑談のテーマとしては、以下が代表的な例になります。
- 仕事を通じて、将来どうなりたいか?
- 何をもっていい仕事をしたといえるか?
- なぜ、いまの仕事を選んだのか?
- 自分の強みはどこにあるのか?
- 今、困っていることはないか?
日本ではこういった会話は「飲みニケーション」として、居酒屋などで行われてきました。しかし、新型ウイルスの影響などで機会が減ってきたこともあり、意識的に職場で雑談を取り入れる必要があります。
価値観を共有することで、互いに心から相手を信頼できます。信頼こそが心理的安全性の根底になりますので、雑談を頻繁にすることは重要です。
愚痴(グチ)は改善のチャンス
「愚痴」に対して、マイナスなイメージを持つ人は多いと思います。しかし、愚痴は改善のチャンスです。
A:最近、残業が多いし、疲れてるんだよね。。
B:ということは、Aさんは業務量が多いんですね。
A:そうです。最近、私に集中している気がします。
B:じゃあ、今度の会議でチーム全体で業務量を調整しましょう!
A:そうですね。業務分担の案を考えておきます。
上記のように、問い返すことで「建設的な改善」を行うきっかけにできます。
この時、責めたり問い詰めたりするような言い方にならないようにしないといけません。感情的にならず、一緒に考えてみましょう!という雰囲気作りが重要です。
気軽に愚痴をいうことがチーム改善の「提案」になれば、発言はさらに活発に行われます。それは心理的安全性の向上に対して、好循環を生みます。
完璧主義ではなくて実験主義
心理的安全性の低い組織では、何をするにも時間がかかります。それは、少しの失敗でも責められるので、一つ一つ完璧を目指す必要があるからです。
一方で心理的安全性の高い組織では、ある程度のもの(試作品)を作ったらチームから意見をもらいます。すると様々な視点からアドバイスをもらえるので「より早く」「より良いもの」ができます。
これが心理的安全性が高いチームのパフォーマンスが高い理由です。
チームのゴールが共通認識になっている
建設的な話し合いをするために一番大事なのは、ゴールの共通認識を持っていることです。実現するまでの方法に対して意見が食い違ったとしても、ゴールが一緒であれば同じ基準で会話ができます。逆にゴールが違ってしまうと、会話は一生平行線になってしいます。
残念ながら多くの日本企業では「チームのゴール」をはっきり決めないまま「こういう仕組みでいきましょう」という業務マニュアルを渡すだけの組織が多いです。
こうなってしまうと、これは間違っているかも?もっといい方法があるかも?と思ったとしても、基準がないので意見を出すことが難しくなってしまいます。これは心理的安全性を大きく損なう原因となります。
よいチームには、よいマネージャーがいる
心理的安全性の高いチームを作るための方法を紹介しましたが、やはりチームのマネージャーが及ぼす影響力は非常に大きいです。
例えば、適期的に1on1を実施しメンバーの価値観を深く理解できますし、愚痴を建設的なミーティングに誘導できます。そして「チームのゴールを決めてメンバーの共通意識を持ってもらう」はマネージャーの一番大事な仕事とも言えます。
実際にGoogleの調査でもマネージャーの持つ影響力は大きいという結果がでており、よいマネージャーの特性もわかりました。
この中でも「よいコーチであること」が最重要項目です。逆にいうと、コーチングができないとそれ以外の特性を全て満たしていたとしてもチームのパフォーマンスをあげることはできません。
コーチング/1on1については、「コーチングが人を変える」「シリコンバレー式1on1」という本にも、とても参考なる具体的な内容が紹介されていますので、よろしければご覧ください。
さらに、本書には「マネージャーの求められること」が様々なケースで紹介されていますので、要約して紹介すると以下になります。
- 1on1の実施方法はメンバーに応じて臨機応変に
- メンバーのパフォーマンスを最大限に引き出すことが仕事
- 自分が目立ちたい/偉いと考えるのは間違い
- 過去の成功体験に固執しない柔軟性が大事
- 自分の判断基準を明確にして、目標に対しては毅然とした態度をとる
- 自分の仕事をなくしていくことが良いマネージャーの条件
つまり「普段は柔和で話しやすい雰囲気だが目標達成には強い意思を持っている」が理想的な姿です。
全てを満たすことは非常に難しいですが、一つ一つ実現できるように日々の努力が重要になります。
まとめ:心理的安全性がパフォーマンスを最大化する
最後に本記事で紹介した内容をまとめさせて頂きます。
心理的安全性の重要性を理解できれば、コーチング/1on1を上手に実施するために勉強をするモチベーションにもつながるかなと思います。
本書にはGoogle社で実際に推奨されている手法など、さらに具体的な方法なども紹介されておりますので、興味がございましたら、是非本書をお手にとっていただければと思います。
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