「将来的にAIに仕事が奪われる。。」→遠い未来の話だと思われていました。
しかし「ChatGPT」の出現で一気に現実味を帯びてきました。文章作成/調査はもちろん、データ集計/プログラミング/アイデアの壁打ち、など多くの仕事をAIで実施可能になりそうです。
人間の仕事はなくなるの?
人間は何をすればいいの?
↑人間にしかできない仕事は残ります。それは「何をするか決める」ということです。
例えば、「◯◯についての情報をまとめて」という指示をAIにすれば、色んな情報をわかりやすくまとめてくれます。しかし、なぜ〇〇について調べようと思ったのか?また調べた情報を使って何をするのか?という点については、人間の仕事です。
つまり「作業」は仕事ではなくなり、何をするか決める「論点設定」が人間に求められるスキルになると言えます。これは未来の話だけではなく、現在でも論点設定力の差が仕事がデキる/デキないの差になっています。
この記事では、論点設定が重要な理由、論点設定力をあげる方法を具体例を交えて紹介します。AI活用で仕事がなくなるかも、、と不安な方だけでなく、仕事が遅い、、要領が悪い、、とお悩みの方も参考になると思いますので、最後までご覧ください。
論点=議論の中心となる問題点
そもそも「論点ってなに?」という話から説明をしていきたいと思います。論点とは「議論の中心となる問題点」のことです。つまり論点設定とは「何を解くべき問題として設定するか?」ということです。
もう意味が分からない。。
理解できない。
↑例題でわかりやすく論点/論点設定について説明しますので、もう少し頑張ってください。
このように、論点=何を問題として設定するかで、どのように解決するのか?という具体的な方法も変わってきます。
仕事において「論点設定」が重要な理由
次は「論点設定がなぜ仕事で重要なのか?」という話です。
売上を伸ばしたい、品質を改善したい、生産性を上げたい、など仕事は問題解決の連続です。問題解決することで会社は利益を生み出すことができます。つまり、どれだけ大きな利益を生み出す問題を解決できるかが、ビジネスパーソンの価値とも言えます。
これも抽象度が高いので、例で紹介をしていきます。
↑ちょっと極端な例ですが、「売上を改善する」という1つの目的に対して問題と対策は色々でてきます。何を解くべき問題として設定するかという「論点設定」次第で成果は大きく変わってきます。
つまり、いつも忙しいのに結果がでない。仕事の要領が悪い。という方は論点設定を間違っているので、誤ったゴールに向かって全力疾走している可能性が高いです。
文章にするとカンタンですが、改めて以下の「問」を自分のこととして考えてみてください。
- Q仕事において、なぜ、あなたは今のタスクを実行しているのですか?
- A
上司(会社)に指示されたから。理由を考えてる暇なんてなかった。
という方が多いと思います。私も企業に務めているので気持ちは良く分かります。四の五の言わず「とりあえず、やらないとダメ」というシーンはありますよね。
ただ、指示されたままに動くことの積み重ねが「非効率で成果が上がらない」「面白くないやらされ仕事ばっかり」という状態につながります。
正しく「論点設定」をする方法
論点設定が大事なのはわかったけど、
どうやって設定をすればいいか分からないよ。。
一瞬で正しい論点を設定できるのは超天才だけです。普通の人が「正しい論点」を設定するために、正しい思考のステップを踏む必要がありますので、分解して説明をしていきます。
この4ステップは様々なケースで利用できる王道の思考パターンです。分解して考えると超カンタン!これで今日から正しい論点設定を完璧にできる!!
・・・とはならないと思います。どういうこと??イメージつかない。。というご意見が多いかと思いますので、「本屋の売上を改善する」という具体例で解説をしていきます。
1:「目的(ありたい姿)」と「現状」を確認する
最初のステップでは、目的(ありたい姿)と現状を確認していきます。
目的:毎月50万円の売上をあげること
現状:30万/月に落ち込んでいる
補足:6ヶ月前まで達成できていた
今回の例では、非常にカンタンに目的を設定しましたが、実際のケースでは「なぜ、そのありたい姿を目指す必要があるのか?」を考える必要があります。つまりゴールの設定が正しいのか?ということです。
この後のステップでどれだけ、頭を使って考え抜いたとしても、そもそものゴールが間違っていては全てが無駄になってしまいますので、要注意です。
※関連記事1:目的設定を正しくするために「視座」を上げる方法
※関連記事2:前提を疑って正しい目的を見つけるラテラル・シンキング
2:目的と現状の「ギャップ(差分)」を把握する
目的と現状を確認することができれば、そのギャップ(差分)を把握することができます。
この例題では50万円の目標に対して、現状は30万円なので、【20万円】がギャップとなります。そして6ヶ月前まで達成できていたので、半年で何が変化したのか?収集可能なデータ(例:来店客数/客単価など)も整理しましょう。
このステップは非常にシンプルで、不要な考察はせずに事実・データを正確に把握することが重要です。
3:ギャップの原因となる「問題点」を洗い出す
ココからが論点設定において、重要なパートになります。
目的とのギャップになっている20万円/月の原因は何か?どうやったら解決できるのか?を網羅的に考えていく必要があります。
大事なのは、先入観で対策を決めないことです。競合店舗の出現!がわかりやすく大きな理由なので、競合対策のキャンペーン!などに短絡的に考えがちです。
しかし「競合店舗ができたことで、なぜ売上が下がったのか?」を掘り下げる必要もあります。
例えば、以下のようなイメージです。
・単価の高いシニア層が減っている
↓なぜ?
・競合店舗は専門書の品揃えが豊富
↓つまり
・専門書の種類を増やすことが改善につながる
また他の理由にも目を向けて、そもそも紙媒体の本の需要が低下し続けている可能性もあります。
その場合、電子書籍を読めるタブレット端末を販売してみるとか、紙である意義がある「子ども向けの絵本・学習教材」を充実させファミリー層をターゲットにする戦略を考えることもできます。
このように一旦、要素を分解して、色んなパターンを考えておくことで、最終的に最も効果の高い正しい論点を設定する準備をすることができます。
※関連記事:ロジックツリーで要素を分解/整理する
4:最も効果が大きいと思われる問題点=論点として設定する
最後に、検討した問題点/対策の中から「最も効果が大きいと思われる施策を論点」として設定します。その際に、何を選択するかには、ポイントが3つあります。
先程の解決案の中から、上記の3点を加味して、何を論点として設定するか決定します。色んな情報が不足していますが、短期的な売上回復を望むという条件なら「専門書の品揃えを増やす」の効果が高そうです。
将来的に選択肢の提示まではAIがやってくれる可能性がありますが、最終的に決断を下すのは人間です。決断するための正しい思考プロセスこそが、市場価値をあげる重要な要素になります。
ちなみに、今回の例では「売上」を題材にしましたが「利益」だった場合、また別の論点になる可能性があります。例えば、情報を整理するなかで「仕入れと売上のズレがある」ということが分かった場合、万引をされている可能性があります。
全国の書店の万引き被害額は、年間約200億円と言われています。本の販売利益率を考えると、1回の万引きの補填には6倍の売上が必要となります。ですので、利益の改善には万引対策が有効!という結論になるかもしれません。
最初のステップで紹介した通り、目的設定次第で、論点も変わってくるという話になります。
まとめ:論点設定力を上げて、市場価値も上げる!
最後に本記事で紹介した内容をまとめさせて頂きます。
論点設定力は非常に重要なスキルですが、いきなり身につけられるものではないです。依頼の背景、なぜやるの?を考え続けることで論点設定の力があがっていきます。日々のトレーニングのきっかけになれば幸いです。
また途中でも紹介した通り、「目的設定を正しくするために「視座」を上げる方法」「前提を疑って正しい目的を見つけるラテラル・シンキング」「ロジックツリーで要素を分解/整理する」など、このブログではビジネスパーソンの「市場価値をあげる仕事術」を紹介してますので、よかったら他の記事もご覧ください。
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