- 安心して仕事を任せていた優秀な社員が辞めてしまう
- 言われたことしか出来ない、自分で考えて動けない人が多い
- 最近、チーム全体に活気がない
お仕事をしていると社内でこんな話よく聞きませんか?
日本企業は終身雇用が崩壊して、転職が当たり前な世の中の変化しているのに、「会社と従業員」「上司と部下」のコミュニケーションのとり方が変わっていないことが大きな原因になっています。
一方、革新的なベンチャー企業が生まれるシリコンバレーでは、優秀な人材の確保こそ最重要課題です。そして優秀な人材は会社と合っていないと感じるとすぐ他社に流れていきます。そんなシリコンバレーでは、「1on1ミーティング」が当たり前になっています。
うちの会社でもやってるけど、効果でてない。
あと自分がされてこなかったので、何を話したらいいかよく分からない。。
そうなんです。昨今、日本企業でも1on1ミーティングを実施している企業は増えてますが、やり方が間違っていて、全く効果がでていないケースが多々あります。1on1を実施する「目的」と「運営方法」について、しっかり理解しないと望むような結果を得ることは難しいです。。
正しいやり方を紹介している「シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング」という本から重要な要素を抜粋して紹介していきます。
管理職(マネージャー)の方はもちろん、1on1の正しいやり方を学ぶとセルフマネージメントも上手になりますので、是非、ご覧になってください。
「聴く読書:Audible」なら無料で視聴できます。よければ、こちらもお試しください
「1on1ミーティング」が必要な理由/効果
多くの企業で、人が育たない、優秀な人が辞めてしまう、チームに活気がない、など「人」に関する課題を抱えています。
これらの問題をつきつめていくと根本的な原因はたった1つです。
それは「個人に焦点を当てた対話の不足」です。
これまでは、終身雇用が前提で会社が将来を保証していました。しかし現在は、自分で将来を考えなければならない時代(転職が当たり前)になりました。
そして、個人が抱える問題は背景がバラバラなので十人十色です。つまり個人の将来/不安と向き合わない会社で働いていると不安が積み重なっていきます。そして労働意欲は下がる ⇒ 良い条件を提示されたら転職する ⇒ 会社全体の活気がなくなる。。という悪循環に入っていきます。
なので、仕事のための情報交換ではなく、意図的に「個人に焦点を当てた対話の時間」=「1on1ミーティング」を設ける必要があります。
従業員に今の環境で働くことは「自分の将来」にもつながっているということを認識してもらう、そして会社としても個人の将来を支援する。これが1on1ミーティングの目的です。
そして正しく実施できれば、以下のような効果を得ることができます。
次の章から具体的に話す内容についてご紹介していきます。
「1on1ミーティング」の進め方
1on1ミーティングを実施するにあたって、一番の課題が「何を話していいいかよく分からない」です。なので、「正しい1on1ミーティング」の全体像について、以下の図をご覧ください。
「信頼づくり」「成長支援」の2つのステージがあります。1回30分とした場合、タイムスケジュール的には『①+②:5分』『③:5分』『④〜⑦のどれか:20分』を目安にしてください。
補足ですが、キッチリこの流れじゃないとダメ!というわけではないです。
注意すべきは「雑談だけにならない」「業務の細かい進捗の話をしない」の2点です。
これから具体的に①〜⑦について会話する目的/内容について紹介しますが、「シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング」には具体的な質問例が大量に紹介されています。対話する相手との関係性や特性にあわせて、参考にできるのがとても有益です。
信頼構築ステージ
上司と部下とはいえ、根本にあるのは人間関係です。人間関係の土台となるのは、しっかりと時間をかけて構築した「信頼関係」です。信頼関係がないと、どんなに良いことを言っても伝わらないので、信頼構築に関する会話は毎回実施しましょう。
①プライベート相互理解
「プライベート相互理解」、いわゆる「雑談」です。雑談の目的は、「会話しやすい雰囲気づくり」「相手を受けいれている意思表明」になります。そのためには積み重ねが大事なので、毎回最初に雑談をするわけです。
仕事を超えて、人間としての信頼関係が結べると「共感」が生まれ「安心」と「勇気」を与えます。心理的安全性が高い職場では高いパフォーマンスが発揮できるということはGoogle社が自社内の調査でも発表しており、実は非常に重要です。
ちなみに、自分のことをあまり話したがらない方には、「自己開示」をして自分の悩み/弱みを先に開示することが有効です。 ※自分のことを話すぎないように注意!!あくまで相手に話してもらうためのきっかけ作りです。
雑談が苦手という方には、以下の記事がオススメです。中田敦彦のYouTube大学でも紹介されていた雑談を上手に実施するノウハウを紹介した本の要約です。
②心身の健康チェック
自分でも気づかないうちに無理をしている人が多いです。そのため、チームメンバーの状態については、上司がしっかりとケアする必要があります。特に近年はメンタル不調になる方も増えているので、注意が必要です。
ただ、尋問のように聞くと構えてしまいますので、①プライベート相互理解の流れで、体調/メンタルに関する質問も一緒にしてしまうとスムーズです。
③モチベーションアップ
信頼構築ステージで最も重要なのは「モチベーションアップ」です。1on1を実施してモチベーションが下がるようであれば、1on1を実施するべきではありません。またモチベーションアップには2種類あります。
1つ目は「不安の解消」です。不安があると、当然モチベーションがあがらず、集中力も低下してしまいます。そのため、まずは「不安に思っていることをしっかりと聴ききること」が重要です。人は自分の話を聴いてもらえるだけで不安を解消できますし、一緒に解決策を考えることで信頼もしてくれます。
2つ目は「褒める」です。これはイメージ通りですよね。褒められてモチベーションが下がる人なんていないです。しかし日本人は褒めるが苦手だと言われてます。褒めるは事実を伝えるのではなく、自分の感情を付け加える必要があります。なので「髪切ったね」ではなく「髪切って似合ってるね」が褒めるということです。
また今日から使える「最高の褒め方」テクニックをご紹介します。それは「他人が褒めていたことを伝えること」です。この間接褒めは心理学的にも非常に高い満足感を生むことが証明されていますし、何より関わった人全員がハッピーになります。
是非、チーム全体で褒めあえる文化づくりに、「間接褒め」を活用してみてください。
成長支援ステージ
上司が行うべきは「メンバーの成長を支援すること」です。人の成長は組織の成長につながるので、1on1ミーティングの一番の目的といえます。あれもこれも、となると頭に入らなくなってしまいますので1回のミーティングで1テーマを原則としてください。
④業務・組織課題の改善
日本企業で1on1をやっているのに、うまく効果がでていないという企業は「④業務・組織課題の改善」を直近の業務報告としか使えていないことが原因です。
改めてになりますが、1on1は「個人の将来」に焦点を当てるミーティングです。つまり仕事を通じて個人の能力をあげるためにできることを話し合うべきです。そのためのテーマとしては「緊急度は低いが重要性の高い業務」についてです。
なぜこのテーマなのかというと、より大きな成果を上げるには目の前の仕事でなく、本質的な仕事に多くの時間をさくべきだからです。なので1on1を通じて「本質を見極める力」+「その業務を遂行/改善する力」を身につけることで、個人も成長し、会社も成長するというWin-Winを実現することができます。
なぜ「緊急度は低いが重要性の高い業務」に注力すべきかについては、エッセンシャル思考/エフォートレス思考を理解していると、より深い議論ができると思いますので、こちらの記事もご覧ください。
また「④業務・組織課題の改善」において、答えをすぐに伝えることは絶対にNGです。「なぜそう思うのか?」「どうしたら出来るのか?」を考えてもらうことが能力開発につながります。難しそうであれば、ヒントを出して一緒に考えるという形で支援をします。
根気が必要ですが、続けることで「主体性を持ち」「自分で考えて」「行動に移すことができる」人材に成長していくというわけです。(どの企業も喉から手が出るほど欲しい人材ですね。)
⑤目標設定/評価
日本では「評価面談」を半期に1回やる企業が多いです。しかし、このペースの面談では「評価される側の納得感」を得ることは難しいです。『納得できない評価=会社への不信感 ⇒ 離職』というのは、成果を出している優秀な社員ほど多いイメージがありませんか?
「納得いく評価」を行っていくために、1on1ミーティングで細かく目標について会話をする必要があります。会話する内容は以下の3点です。
- 目標自体への理解を深める
- 進捗や今後の見通しを確認しあう
- 進捗がよくない場合、対策を一緒に考える
上記について定期的に会話することで「評価をされる」ではなく、「主体的に目標に対して挑戦している」形になるので納得感を持つことができます。
⑥能力開発/キャリア支援
「④業務・組織課題の改善」とテーマとしては似ています。しかし「⑥能力開発/キャリア支援」ではより「自分の能力/キャリア」にフォーカスします。
人は業務を「学び」に変えることで成長します。逆に言うと、やりっぱなしでは学びを得られたかはその人次第になってしまいます。そのため、1on1という時間を使って振り返り、しっかりと学びを得ていきます。
- 具体的な経験:プレゼンでうまく話すことができなかった失敗した
- 振り返り:内容が頭に入っていなかったので、質問でペースが乱れた
- 教訓/学び:原稿を見なくても話せるくらい理解をしておく
- 新たなチャレンジ:別の商材を勉強して再度プレゼンの機会を作る
よくあるケースでは、取り組んでいる「1」を題材にして、「2〜4」を1on1で会話して、次の「1」に学びを活かすというサイクルを経験してもらうことに使います。
またキャリア支援については、自分の「強み」「弱み」の理解する場。そして強みを生かして将来的にやりたいことについて、会話をします。将来にむかってキャリア支援するのも上司の重要な役割です。
人によっては「特にやりたいことがない。」ってケースありますよね?
その時は「今に満足しているか?」「将来こうは、なりたくない?」というマイナス要因を一緒に取り除く方向で会話をしましょう。
⑦戦略・方針の伝達
管理職の重要な役割とはチームメンバーに会社からの方針を伝え、組織として機能させることにあります。つまり会社からの決定事項を的確に伝えるのは義務なんです。ですのでデキル上司の条件に「方針の伝達が上手い」があげられます。
上手にメンバーに戦略・方針を伝えるコツは、以下3点を順番に、丁寧に伝えることです。
- 決定事項:何が決まったのか?(事実)
- プロセス:なぜそうなったのか?(原因となった出来事/懸念と対策/時系列)
- メッセージ:決定とプロセスを踏まえて伝えたいこと(自分の意思)
求心力がないリーダーの原因は、方針を伝える際に、「事実/解釈がゴチャゴチャでよくわからん」もしくは「自分の意思が無い」が主な要因かなと思います。
事前準備/実施テクニック
1on1ミーティングは「メンバーのための時間である」という大前提を頭にいれつつ、万全の準備をしましょう。大事な会議/商談はしっかりと準備しますよね?同じように自分のチーム、会社の将来に関わる重要なミーティングとして捉えましょう。
しっかり準備したら、あとは当日に望みましょう。また実施したくなる「楽しく」「有意義な」時間にするためのポイントは「笑顔で話を聞く」です。しっかり準備したからと言って、上司側から一方的に話をしてしまったら、意味がないです。主役はメンバー側です。
まとめ
最後までご覧頂きありがとうございます。最後にまとめさせていただきます。
ご自身は管理職の場合は、早速実践してみてください。そして本書には実践で使える質問例が大量に掲載されているので、1on1ミーティングをやってみたいな!と思った場合は、お役に立つと思います。
「聴く読書:Audible」なら無料で視聴できます。よければ、こちらもお試しください
また自分はメンバーで部下はいない。という場合は、④〜⑦をセルフ1on1ミーティングをしてください。管理職として求められる能力として「自分で自分をマネージメントできる」があります。
自分との対話なので、時間も場所も自由ですので、気軽にやってみてください。
オススメは紙にテーマを書いて「上司」「部下」、それぞの立場で意見を書き出していくと頭が整理されます。「あー、たしかに上司から見たらココ指摘したいな。」とか!
この記事では「1on1」に焦点を当てていますが、マネージメントに関する膨大な行動データ分析して「上位5%の結果を出し続けるリーダーの特徴」を紹介した本の要約記事もご参考までにどうぞ!
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